胡錦濤対日戦略の本音ーーナショナリズムの苦悩
朱 建栄 角川書店 1800円

●書評:

 評者 五十嵐


 中国に多彩な情報源を有し中国の政治・社会の現状を熟知した著者が、中国側指導者層の考え方・立場を踏まえた上で、日本への愛情をこめつつ、努めて冷静に、アジアにおける日本外交のあり方を示唆しようとする力作。

 評者は、1997年ケ小平の逝去を受けて同氏亡き後の中国政治の流れについて多くの「中国通」が多くの「見方」を述べた中で、最も的確に事態を把握していたのが、著者の朱建栄氏であったと考えている。その意味でも、今後の中国を論ずるにあたっては、一読の価値があると考える。